緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ジルさんとヘルムフリートさんが軽口を叩きあっている。お互い遠慮する必要がないほど仲が良くて羨ましい。

 それから、二人はもう遅いからと言って帰る準備を始め、また改めて店に来ると言って帰って行った。
 ちなみに私の魔法に<浄化>と<治癒>の効果があることは他言無用らしい。

 私は二人を見送った後、温室に戻ってぼんやりと考える。

(まさか私の水魔法に<治癒>の効果があったなんて……。ジルさんたちに言われなかったらずっと知らないままだったんだろうな……)

 私のこの力が誰かを救う力になるのならとても嬉しいし、もっと役に立ちたいと思った。




 * * * * * *




 帰路につく馬車の中で、ジギスヴァルトとヘルムフリートが困惑した表情を浮かべている。
 先程まではアンの手前平静を装っていたが、発覚した驚愕の事実に、お互い動揺を隠すのが精一杯だったのだ。

「……ジギスヴァルトはどう思う?」

「む。それは俺よりお前の方が詳しいだろう」

「いや、そうなんだけどさ……アンさんの魔法は俺の知識の範疇? っていうか、常識を超えちゃっているんだよねぇ」

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