緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「うむ。アンには<浄化>に近い<治癒>と言ったものの、実際は<再生>だからな。俺でもその特異性はわかる」

 ジギスヴァルトの言葉の通り、アンが魔法で出した水には<再生>の力があった。
 しかし本人にそのまま真実を告げる訳にも行かず、ジギスヴァルトとヘルムフリートはアンに<浄化>に近い<治癒>と説明するしか無かったのだ。

「<浄化>はともかく<治癒>で遺伝情報が治る訳ないしねぇ。<再生>以外説明がつかないよねぇ」

 <治癒>で治せるのは精々怪我や病気までだ。生物の持つ遺伝情報のような生体構造の根源となる領域にその効果は及ばない。

 しかしアンの魔法は損壊した遺伝情報を修復し、失われた情報を再現したのだ。いくら強力な<治癒>でも、欠損したものを治すことは出来ない。それは失った腕を元に戻せないのと同じことだ。

 だけどアンの魔法なら──<再生>であれば、遺伝情報を再現したように、欠損した身体部分も元に戻せる可能性がある。

 ──その事実は、アンの魔法が、その存在がこの世界に大きな影響を及ぼすことを指す。

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