緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「だけど、こんな情報を漏らすわけにはいかないからね。アンさんには悪いけど、頃合いを見計らって本当のことを伝えるしかないよね」

「うむ。そうだな……」

 もしアンの<再生>の力が好戦的な国に知られてしまったら、アレリード王国は争いに巻き込まれてしまうだろう。それほど<再生>の力は稀有な、奇跡の力なのだ。
 言い換えるならば、遺伝情報や生体情報を復元できるということは、時の権力者が追い求めていた『不老不死』の夢が手に入るということに他ならない。

「ジギスヴァルトはアンさんのことをどう思ってる? 俺、お前が声を出して笑うところを初めて見たよ。それってお前にとってアンさんは特別な存在ってことだろう?」

 アンの微笑ましい姿を見たジギスヴァルトが声を上げて笑った事実に、ヘルムフリートは衝撃を受けた。
 ジギスヴァルトとは生まれた時から交流があったが、彼が笑う場面を見たことは片手で数えるほどしか無かったのだ。
 もちろん、ジギスヴァルトにも人並みに感情はある。しかし何故かそれが表に出ることがないので、いつもジギスヴァルトは無表情に見えてしまう。
< 115 / 238 >

この作品をシェア

pagetop