緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 アンの店は王都の端にあり、馬を急がせたとしても到着までに三十分はかかる。しかし防犯の魔道具は侵入者を知らせるためのもので、対象者を守るものではないので気休めにしかならないだろう。

「後は俺と同じように身体防御の術式を掛けることかな」

「その術式を指輪か首飾りに刻印することは可能か?」

「……いや、そりゃ出来るけど、指輪か首飾りって……」

「それは俺が用意する。アンには世話になっているからな」

「……えっ?! お前がっ?!」

 ヘルムフリートはジギスヴァルトの提案に驚いた。まさか贈り物にアクセサリーを選ぼうとするとは、今までのジギスヴァルトからは想像もつかなかったのだ。

「うむ。何を贈るかは俺が決める」

 ジギスヴァルトはどうしてもアンに何かを贈りたいらしい。それが馬車からアクセサリーへと変化したところに、彼の成長が窺える。

「わかった! 術式を刻む素材はジギスヴァルトに任せるよ! 楽しみにしてる!」

「む? 何故お前が楽しみにするのかわからんが……。ああ、そろそろアンの店へ行く時間だな」

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