緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 フロレンティーナが難病に罹ったと聞かされたジギスヴァルトは『彼女を元気付けたい』と言うヘルムフリートの代わりに、贈り物を用意することになった。

 当のヘルムフリートは特効薬の開発に専念していて、研究室から出ない日がしばらく続いており、時間が出来ればフロレンティーナの面会に訪れていたため、贈り物を買いに行く余裕が全く無かったのだ。

 ジギスヴァルトが贈り物について悩んでいた時、偶然騎士団員達の会話を耳にする。その内容は、”姉に花束を贈ったらすごく喜んだ”、というものであった。

(……む。花束か……全く考えていなかったな……)

 その情報は、綺麗な物好きのフロレンティーナが喜ぶような贈り物を全く思い付かなかったジギスヴァルトに、大いなるヒントを与えてくれた。

 しかしその後すぐ、国境近くの大森林に強力な魔物が現れたと報告を受けたジギスヴァルトは、急遽遠征することになってしまう。

 魔物はS級ランクのグリフィンで、鷲の上半身に獅子の下半身の姿をした強力な魔獣だ。空の支配者と呼ばれるグリフィンは多数の国の騎士団を幾つも全滅させたと聞く。

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