緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 今回のグリフィン討伐に、精鋭と讃えられている騎士団員達も流石に死を覚悟した。
 しかしジギスヴァルトによる活躍で、獰猛な肉食獣であるグリフィンの討伐に成功する。しかもS級魔物の討伐で死者が一人も出なかったのは奇跡に近いだろう。

 そうして事後処理を終わらせ、討伐完了の報告するために王宮へ向かう馬車の中で、ジギスヴァルトは疲れを癒やしながら移りゆく景色を眺めていた。

 アレリード王国は所謂工業国で、人々に活気はあるものの、丈夫さを重視した石造りの建物が並ぶ街並みはどことなく殺風景で、ジギスヴァルトの目に世界はいつも灰色に見えていたのだ。

 馬車が王都入りし、もうすぐ王宮に到着すると思ったその時、灰色しか映していなかったジギスヴァルトの目に、突然色鮮やかな景色が飛び込んできた。

 ジギスヴァルトの目に止まったのは『ブルーメ』と看板を掲げている花屋で、小さい店のその一画が、まるで別世界のように色彩豊かに見えたのだ。

「馬車を停めてくれ」

 咄嗟に御者に声を掛け、馬車を停止させたジギスヴァルトは、まるで吸い込まれるかのように花屋へと向かった。

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