緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 渋くならないようにクラテールを濾し、ホーニッヒで甘みをつけると、ジルさんが待つ温室へと向かう。

 花畑を背景にして座っているジルさんは、天井から降り注ぐ光の効果も相まって、とても綺麗に見えた。
 男の人に「綺麗」という表現は嫌がられるのは知っているけど、それでも私はこの人を綺麗だと思ってしまう。

(はぁ〜〜。眼福……! この瞬間を形に残せたら……っ! もうこれ芸術作品でしょ)

 ジルさんの綺麗な銀髪が夕日で染まり、見事な金髪へと変貌している。いつもの銀髪も好きだけど、金髪になると雰囲気が柔らかく感じるのは、演色性のせいだろうか。

「お待たせしてすみません」

 私に気づいたジルさんが柔らかく微笑んだ。もうそれだけで胸が一杯で、この尊い存在に出逢わせてくれた神様に感謝する。

「仕事で疲れているだろうにすまないな。とてもいい香りだ」

 プレッツヒェンとクロイターティに使っているローズマリンの香りに気付いたジルさんが、目を輝かせている。

「ふふ、大丈夫ですよ。お口に合えば良いのですが」

 私はテーブルにプレッツヒェンが入ったお皿を置き、クロイターティをカップに注ぐ。

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