緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ローズマリンは血管を強くし血行と消化も良くなり、新陳代謝が活発になるといわれている。しかも細胞の老化を防いでくれるので、いつまでも若々しくいられると人気のクラテールだ。

「……む。美味くて身体に良いとは、クラテールは凄いのだな。アンは本当に物知りだ」

「っ、有難うございます! でも職業柄知っていて当然のことですから……! ジルさんが魔物に詳しいのと同じです」

 花屋と騎士の仕事は全く違うし、持っている知識が違うのも当たり前なのだから褒められても調子に乗ってはいけない。ジルさんは私を過大評価するきらいがあるのだ。

「もしクラテールに興味があるのなら、わかる範囲で教えますよ」

 ローズマリンは強くて丈夫なハーブだし、いくらジルさんが<茶色の手>の持ち主だとしてもアルペンファイルヒェンのようにすぐに枯れたりしないはず。

「む。それは有り難い。是非教えて欲しい」

「じゃあ、まずはジルさんお好みのクラテールを見つけないとですね。クラテールはとても種類が多いので」

 それから私とジルさんはクラテール談義に花を咲かせ、日が沈むまで話し込んでしまった。
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