緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「いえいえ、こんなに可愛いお客様ならいつでも大歓迎です! どうぞゆっくりご覧になって下さいね」

 ヴェルナーさんは申し訳無さそうにしているけれど、フィーネちゃんは嬉しそうに花を眺めているだけでとても大人しいので全く問題ない。

「有難う。そう言って貰えると妹も喜ぶよ」

 私が快く受け入れたからか、ヴェルナーさんがホッとした表情を浮かべる。
 きっと小さい妹さんにメロメロなのだろう。この可愛さなら納得だ。

「お歳の割にすごくしっかりしていらっしゃいますね。礼儀も正しいし本当に可愛いです!」

「ははは。有難う。フィーネは両親が高齢になってから生まれた子でね。他の姉弟と結構歳が離れているんだ。だから同年代の子より大人っぽいのかもしれないね。一番上の姉と並んだらまるで親子だよ」

 そう言ってフィーネちゃんを見る眼差しはとても優しくて、ヴェルナーさんがフィーネちゃんをとても大切に想っていることが伝わってくる。

(フィーネちゃんは美少女だし、ヴェルナーさんも格好良いし、きっと他のご兄妹も美形揃いなんだろうな……)

 私はヴェルナーさん一家を一度見てみたいな、と密かに思いつつ、美しい兄妹を鑑賞させて貰うのだった。
 


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❀名前解説❀
ステルンクーゲル→スカビオサ
ユングファーイングルーネン→ニゲラ
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