緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 正直、身分とか年齢に問題がなければ喜んで働いて貰っていたと思う。……だってフィーネちゃん可愛いし、癒やされるし。

「では、ご両親の許可を頂いたら働いて貰う、ということで良いですか? ちなみに条件とかはどうしましょう? あ、お給金は……」

 こうして貴族のご令嬢を雇う場合、如何ほどのお給金が必要なのだろう。桁違いなら払えないかもしれない。

「給金なんて必要ないよ。こちらが無理言って頼んでるんだし」

「えっ! でも、そういう訳には……!」

「お兄様の仰るとおりですわ! 先程も申し上げましたが、わたくしお給金は頂きませんわ!」

 フィーネちゃんも再びお給金はいらないと言うので、困惑してしまう。

「ええ……いや、でも……」

「じゃあ、こうしよう! お給金代わりにアンちゃんの手作りプレッツヒェンを貰うということで!」

「まあ! そうですわ! それが良いですわ! わたくし、もう一度プレッツヒェンが食べたかったのですわ!」

「え、いや、その……っ ええ〜〜〜?」

 息がピッタリの兄妹に私が叶うはずもなく、取り敢えずご両親の許可を得てきて貰うことになった。

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