緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「そうと決まれば大量に咲かせないと!」

 善は急げというし、在庫の球根も全て放出してマイグレックヒェンを植えることにする。棚いっぱいに鉢を並べて育てれば、十分な量が確保できそうだ。

(あ、婚儀の装花にもマイグレックヒェンを使おう! 今からギルドに頼めば十分間に合いそうだし!)

 方向性が決まれば後は準備するだけなので、メンタル的にだいぶ気が楽になった。

 だけど婚約式の準備をするとなると、お店の営業のことを考える必要がある。
 しばらくの間は婚約式用の花を育てるのにいっぱいいっぱいになるので、お店で売る花を育てる余裕がなく、休業しなければならないのだ。

(前もってお客さんたちには知らせなきゃね)

 私はこれからしばらく忙しくなるな、と思いながら、婚約式のことを考える。

 婚約式は結婚の契りを出席者の前で誓うという神聖な儀式で、要は神様に結婚しますよ、と報告するためのものだ。
 だから規模はそう大きくないけれど、王族と高位貴族の婚約式となればその責任は重大だ。しかも今をときめくお方たちなのだ。世間からの注目度はかなり高いだろう。

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