緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 私に危害を加えそうな人って……? 誰かに恨まれるようなことをした覚えが無い、と思うけれど……。
 だけどジルさんの目が真剣だったから、きっと何か意味があるのだろう。

「有難うございます! 明日から使わせていただきますね!」

「うむ。そうしてくれると俺としても安心だ。ヘルムフリートの術式は確かだからな」

 穏やかな印象のヘルムフリートさんだけど、騎士団と共にこの国の国防の要である魔法師団の団長で、魔道具作りの天才でもある。
 そんな人が作った防御の魔道具なんて、すごい効果があるに違いない。

「……ああ、俺も聞きたかったんだが、今日はどうして休業にしていたんだ?」

「あ、それはですね。うちの店が王女殿下の婚約式の装花をすることになりまして。会場へ下見に行っていたんです」

「ああ、そうだったな。フロレンティーナとヘルムフリートが無理を言ってすまない。アンの育てる花は美しいから、彼奴等が是非にと言う気持ちがよくわかる分、反対する訳にもいかなくてな……」

 ジルさんは私の店の規模を考えて、無理な注文ではないかと心配してくれたらしい。

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