緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「だけどリーデルシュタイン卿のおかげで騎士団のレベルが上ったんでしょう? その分、訓練も相当厳しいらしいけれど」

「ヴェルナーもしばらく筋肉痛で動けなかったわね」

「まあ、リーデルシュタイン卿がどんな性格だったとしても、彼がこの国の英雄なのは変わりないけどね」

 温室で一緒にお茶を飲んでいる時のジルさんはいつも穏やかだから、お姉様方が噂しているような厳しい姿が私には想像できない。

(そういえば腕の筋肉が綺麗でびっくりしたっけ。騎士団長だし、すごく鍛えられてるんだろうな……)

 私は以前見た、エプロン姿のジルさんを思い出す。
 スラっとした立ち姿は思わず見惚れてしまう程格好良かった。
 恐らくジルさんは細マッチョと呼ばれる部類の人なのだろう……裸を見たことはないから想像するしか無いけれど。

「それにしても、せっかくアンちゃんが来てくれたのに召集が掛かるなんて、ヴェルナーって運が悪いわね」

 ジルさんの筋肉の事を考えていた私は、自分の名前が出た事に意識を引き戻される。

「え? ヴェルナーさん、お仕事なんですか?」

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