緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 私は未だに、ヴェルナーさんの姿が見えない事に気が付いた。
 今日は水の日で、ヴェルナーさんがお休みを合わせると言っていたから、お屋敷にはいると思っていたのだ。

「そうなのよ。やっと休みを勝ち取ったって喜んでいたのに、朝早く呼び出されちゃって」

「ホント、あの子間が悪いわよね」

「いざ、っていう時に邪魔が入ったり失敗したりするのよね。昔はこの子呪われているのかしらって心配したわ」

 とてもプレッツヒェンを楽しみにしていてくれたのに、まさかの召集だったとは。でも今回はたっぷり作ってきたし、今日一日で無くなることは無いと思う。

「これからしばらくは騎士団も忙しいんじゃないかしら」

「今の王都は良くも悪くも騒がしいから、衛兵団だけじゃ手が回らないでしょうね」

「アンちゃんは一人暮らしでしょう? 戸締まりに気を付けるのよ?」

「可愛い女の子がひとりで暮らしているなんて……心配だわ」

「心配してくれて有難うございます。私も気をつけますね」

(今まで気にしたことなかったけど、お姉様方を安心させるためにも、これからは防犯に気をつけなきゃね……)

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