緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 以前作ったピンク系の花束になるけれど、花材が変わっただけで全然違う印象になるから、きっと喜んで貰えるに違いない。

「お待たせしました! こんな感じになりましたけど大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない。今回も素晴らしい出来だ。彼女はアンの花束をいつも喜んでくれている」

「わぁ! 本当ですか?! 有難うございます! 彼女さんに宜しくお伝え下さい!」

「ああ、わかった」

 いつも花束を受け取ると、ジルさんはすぐに帰るので、今日も同じだろうと見送るつもりでいると、彼は店内をキョロキョロと見渡している。

(あれ? どうしたんだろう)

 私が不思議に思っていると、ジルさんが「自分用に何か花を見繕ってくれないか」と申し出た。

「え? ジルさんがお花を、ですか?」

「ああ、仕事場に飾ろうと思うのだが……俺は不器用だから、手が掛からない花をお願いしたい」

 ジルさんの希望を聞いた私は考える。

(仕事場に手が掛からない花ねぇ……)

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