緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「綺麗ね……。色が鮮やかで素晴らしいわ。ねぇ、この花束を飾ってくれるかしら? 場所は……そうねぇ。サイドボードの上にお願いするわ」

「畏まりました」

 侍女が恭しく王女から花束を受け取ると、用意していた花瓶に花を生ける。
 この寝室には同じように生けられた花が幾つか飾られているのだが、それは全てアンが作った花束だった。
 初めて作った花束は流石に枯れてしまったのか、もう飾られていないようだが、前回作った花束はまだ元気に咲いていて、王女の目を楽しませている。

 お見舞いとして貴族達から幾つも花束を贈られているが、王女はあまり気に入っておらず、寝室に飾るのはアンが作った花束だけになっていた。

「アンにお礼を伝えてくれるかしら? いつもアンの花束に励まされているって」

「承知しました。必ず伝えます」

 ジギスヴァルトが王女に一礼し、部屋を退出しようとした時、慌てた様子で部屋に入ってきた人物がいた。

「遅くなってすまない。フロレンティーナ、具合はどう?」

「あらあら、ヘルムフリートったらそんなに慌てちゃって。ほら、ジギスヴァルトも来てくれているのよ?」

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