緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 団員達は見知らぬその人物に感謝した。
 元気を取り戻した花と共にジギスヴァルトも復活し、しかも雰囲気がより一層柔らかくなったのだ。

 ジギスヴァルトの一連の変化に、勘が良い者は”まさか救世主は女?”と気付き始めたようだった。
 その憶測は噂となり、団員全員が知るところとなったのだが、誰一人として相手の女性を探そうとする者はいなかった。
 下手にジギスヴァルトの不興を買うよりも、今ある平穏を手放したくないと誰もが思ったからだ。

 そして団員達に色んな意味で見守られながら、騎士団長の仕事をこなすジギスヴァルトのもとへ、魔法師団長のヘルムフリートがやってきた。

 寝る間も惜しんでフロレンティーナ王女の病気を治す薬を開発中の彼が、忙しい合間を縫って騎士団に来るとは、何か急ぎの用事の可能性がある。

 ジギスヴァルトはヘルムフリートを来客用の椅子に座るよう促し、自身もヘルムフリートの正面に座った。

「突然来てしまってすまないな。研究が行き詰まっていてさ。気分転換に君の様子を見に来たんだけど……なんか雰囲気変わった?」

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