緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 母親は息子であるジギスヴァルトに植物を見て和んで貰おうと、彼の部屋に鉢物を幾つか置いていたのだが、ジギスヴァルトはその悉くを枯らしてしまったのだ。

「……む。それは一度枯れかけていたのを助けて貰ったからな」

 母親に似て、ジギスヴァルトも植物が好きだった。しかしどんなに気を付けていても、どうやっても枯らしてしまうのだ。
 だからアルペンファイルヒェンだけは絶対枯らせたくなかったのだが、結局アンネリーエが助けてくれなかったらアルペンファイルヒェンもあっという間に枯れていただろう。

「へぇ。随分腕がいい庭師なんだな。それに俺、こんな真っ白の花なんて見たこと無いよ。一見白い花でもよく見ると色が付いているものなんだけど」

「そうか? 店には他の白い花もあったが……」

 ジギスヴァルトはアンネリーエの店に置いてあったマイグレックヒェンを思い出す。小さく白い花を鈴なりに咲かせる姿はとても可憐だった。

「店ってフロレンティーナの花束を買ってる店? この花もそこで買ったの?」

「そうだ。そこの花はどれも色鮮やかでとても美しいんだ」

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