緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 そう言って、笑みを浮かべるジギスヴァルトを見たヘルムフリートはポカンとする。
 基本が無表情のジギスヴァルトの柔らかい微笑みなんて、今までの人生で数えるほどしか見たことがなかったのだ。

(そう言えばジギスヴァルトって、綺麗なものや可愛いものが好きだったよな。その店に可愛い子でもいるのかねぇ……?)

 ヘルムフリートはジギスヴァルトの雰囲気が変わったのは、その花屋が関係しているのではないか、と考える。
 しかしジギスヴァルトにわざわざそのことを質問するようなことはしない。親友である自分ができることは見守ることだけなのだと理解しているのだ。

「俺もその花屋に連れて行ってくれない? 俺からもお礼を伝えたいし」

 それでも親友の恋のお相手が気になるのは仕方がない。それにこうして花屋に行く口実を作って協力するのも親友の勤めなのだと、ヘルムフリートは自分に言い聞かせる。決して好奇心に負けたわけではないのだ。

「……む。お前なら……まあ……」

「よし! じゃあ善は急げ! 今から行こう!」

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