緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ヘルムフリートは椅子から立ち上がると、ジギスヴァルトの都合などお構いなしに連れて行こうとする。

「む。しかしまだ仕事が残っているのだが」

「そんなのあとあと! 俺今研究が行き詰ってるって言っただろ? 気分転換に付き合ってくれよ! これは最優先事項の案件でもあるんだからさ。もしかしたらその花屋に何かヒントがあるかもしれないし」

 ヘルムフリートの研究である薬の開発はフロレンティーナ──王族の危機として急務となっていた。

 彼らの前では気丈に振る舞っているフロレンティーナだが、その病状は日に日に悪くなっている。
 そのこともあり、ヘルムフリートは薬の開発を焦るあまり、研究が手につかなくなってしまったのだ。

 ジギスヴァルトは平静を装うヘルムフリートの中に焦りを見る。
 確かに、火急の任務が無い自分が優先すべきは大切な親友と幼馴染だろう。それが最優先事項の案件であれば尚更だ。

「わかった。少し遠い場所にあるが大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ! 有難うな」

「気にするな」

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