緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 突然褒められた私はめちゃくちゃ動揺してしまう。更に顔が真っ赤になっているのが自分でもわかってしまってすごく恥ずかしい。

(うわー! 変な声が出ちゃった! ジルさんが呆れていたらどうしよう……! うぅ、ヴェルナーさんに言われても全然平気だったのに!)

 社交辞令だとわかっていても、真面目そうなヘルムフリートさんだからか、軽そうなヴェルナーさんと同じ言葉のはずなのに重みが全く違う……ように感じる。
 ……というか、ジルさんもいるのにヘルムフリートさんはなんてことを言い出すのか。ジルさんの反応次第で私の心はポッキリ折れてしまうかもしれない。

(だめだめ、こういう時こそ落ち着いて、冷静に冷静に………………ふぅ)

 何とか気持ちを切り替えた私が、ヘルムフリートさんにお礼を言おうとした時──

「……おい」

 ──地の底から響くような、怒気を帯びた低い声がして、馬車の中の雰囲気が一瞬で凍りついた。と同時に、まだほんのり赤かった私の顔からサアっと血の気が引いていく。

(ひいっ!? ……こ、怖っ?! え、今のってジルさんの声……?)

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