緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 正直、ジルさんが国の英雄と誉れ高い騎士団長と言われても、雲の上の人過ぎて全然現実味がないから、そう言ってくれて助かった。

「はい、もちろんです! こちらこそこれからもご贔屓にして貰えたら嬉しいです!」

 ジルさんのことをもっと知りたいと思った矢先に、とんでもないことを知ってしまった気がするけれど、今まで通りでいいのなら何も問題はない。

 安心したことと条件反射で笑顔になった私を見たジルさんは、何故か複雑そうな難しい顔になってしまう。そんなジルさんを見てヘルムフリートさんはニヤニヤと笑っていた。

 色んな意味で対象的な二人を不思議に思っている内に、馬車は私の店に到着したのだった。
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