緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 とはいえ、ジルさんが温室に来るためにわざわざ休みを合わせてくれるとは思いもよらず、私の心は驚きよりも嬉しさが勝ってしまう。

「じゃあ、また来る」

 ジルさんはそう言うと颯爽と帰って行った。

 私は馬車が見えなくなるまで見送りながら、次の休みの日にはどのお菓子を作ろうかと考える。

 今までお客さんと店主という、いつ無くなるかわからない関係だったけれど、これからは茶飲み友達として新しい関係を築けるのなら、とても嬉しいと思う。




 * * * * * *




 温室でジルさんと一緒にお茶を飲んでから数日後、お店の片付けをしている私のもとへ、再びジルさんとヘルムフリートさんがやって来た。

 私は急いでお店を閉めると、二人を温室へと案内する。

「アンさんのおかげで薬が完成したよ! フロレンティーナの容態も日に日に良くなっているんだ! 本当に有難う!!」

 温室に着くやいなや、ヘルムフリートさんが私に感謝の言葉を述べた。

 ヘルムフリートさんは長年の憂いが晴れたようなスッキリとした顔に、満面の笑みを浮かべている。
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