人肉病
「そうだったんだ」


それならひとこと連絡してくれたら良かったのに。
そう思ったとき、麻子の足に赤い斑点が出ていることに気がついた。
麻子も感染している。
おそらく、今朝からだろう。


「さっき言ってた、違うっていうのは?」


圭太が麻子を警戒しながら尋ねる。
そう言えば、そんなことを言っていたっけ。


「先生は誰かを襲ったりはしてないよ。別の感染者が、非感染者を襲おうとしてたの。先生はそれを止めようとして、巻き込まれた」


麻子が倒れている先生に視線を向ける。


「そのカッターナイフは非感染者がご信用に持ってたものだったの」


麻子の声は震えている。


「先生は感染してたけど、人肉なんて食べなかった。どれだけお腹が減っても、食べなかった」


麻子はブツブツと呟くように言って保健室の中へ戻っていく。
私は開けられたドアから中の様子を確認した。
そこには倒れている男子生徒の姿が見える。
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