人肉病
☆☆☆

「直があんなに強引な性格だとは思ってなかった」


寝室のベッドの上に座り、私は圭太の手首をさすりながら呟いた。
手首の赤みはまだ消えていない。


「誰だってこんな状況になると多少性格に変化は出るさ」


圭太はこんなことをされても直を擁護する気でいるみたいだ。


「それに、俺も父親のことは気になってる。直に言われるまで不審な点があったなんて気が付かなかったけど、一週間目の注射はたしかにおかしかった」


自分の腕に残る注射の痕に視線を落として圭太は呟く。


「もしこれがワクチンだとすれば、あの施設でウイルスが開発されたことになる」

「そんな実験もしてたの?」


その質問に圭太は左右に首を振った。


「さすがに実験内容まではわからない」
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