人肉病
「食料が来るのを?」


言葉の意味が理解できずに首をかしげる。


「非感染者のことだよ。もう人数が少なくなってきてるから、なかなか見つけられないの。だからここで待機して、非感染者が近づいてきたら襲って食べるんだ」


彼女はそう言うと体育館の隅を指差した。
そこには制服と骨だけになった生徒が数人分転がっている。


「そ、そうなんだ」


私の喉はまた意思とは無関係にゴクリと上下する。
これ以上空腹にならないよう、すぐに視線をそらした。


「それで、どうしてバスケットをしているの?」

「こんな状況でも楽しんでる子がいるってわかれば、気になって近づいてみたくなるでしょ?」


つまり、ここでおびき寄せをしていただけで、本気で遊んでいるわけじゃなかったみたいだ。


「あなたも仲間になる?」

「い、いや。私は武器を探しに来ただけなの」

「武器?」


首をかしげて質問されて咄嗟に「食料を襲うための武器だよ」と、返事をする。
感染者からの攻撃を避けるためだなんて、絶対に言えない。


「そっか。もしかして1人で狩りをしてるの? あなた弱そうだもんね」
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