人肉病
☆☆☆

埃っぽい体育館倉庫の中にはボールやネット、マットなどに紛れてバッドも数本置かれていた。
他になにか武器になりそうなものはないかと探してみたけれど、外にいる圭太のことを考えると気持ちが焦ってしまって、結局2本のバッドを掴んで倉庫の外へ出た。
再びバスケットを再開した生徒たちに手を振って体育館を出る。

分厚い扉を締めるとようやく大きく息を吸い込むことができた。
緊張で知らない間に呼吸を忘れてしまっていた。
扉の前で目を閉じて深呼吸を繰り返し、呼吸を整える。
どうにか落ち着いてきて目を開いたとき、体育館周辺に圭太の姿がないことに気がついた。


「圭太?」


声をかけても返事はない。
体育館から出てすぐに廊下が伸びていて、その左右には更衣室とトイレがあるだけだ。
そのどこからも物音は聞こえてこない。
嫌な予感がしてすぐにスマホを取り出したけれど、圭太のスマホは充電が切れていることを思い出して手を止めた。


「こんなときに限って……」


下唇を噛みしめる。
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