人肉病
バッドを手に入れたのに、肝心の圭太とはぐれてしまったのでは意味がない。
今の状況で武器が必要なのは、私ではなく圭太なんだから。

とにかく探し出さないと。
そう思って一歩踏み出したときだった。
右手の男子トイレが開いて圭太が姿を見せたのだ。


「圭太!」


思わず駆け寄る。


「薫。バッドを取って来れたのか」

「うん。体育館から出たらいないんだもん。びっくりするでしょ」

「ごめん。ちょっとトイレに行ってただけだから」


圭太は私の頭をポンッと撫でてバッドを手に持った。
離れた場所で何度かスイングすると、風を切るブンッという重たい音が聞こえてくる。


「圭太って野球したことあるの?」

「いや、授業で何度かやっただけだけど、肩が強いって言われたことならある」


バッドを振り回して感覚を掴んだのか「よし」と、小さく頷いた。


「体育館にいた連中はなにをしてたんだ?」


再び校舎を歩きながら圭太に質問されて、私は女子生徒から聞いたことをそのまま説明した。
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