S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
(私には想像もできない事情があったのかもしれない。ちゃんと話せば、なんでもないことなのかも)

 なんだか急にすべてがうまくいくような気がしてきた。単純な自分に和葉は苦笑する。

 そして迎えた柾樹の誕生日。ゆうべ彼は宿直だったため、まだ「おめでとう」を言えていなかった。柾樹の帰宅を楽しみに待ちながら和葉は夕食の準備をする。

 和食は逆立ちしても育郎の味にかなわないので、メニューは洋食にした。
 時間をかけて煮込んだポタージュスープ、新鮮な刺身のカルパッチョ、メインは牛ロースとじゃがいものオーブン焼き。ワインと、それに合いそうなつまみも用意した。

「どれもおじいちゃんに褒められたことのある得意メニューだし、味は大丈夫なはず!」

 テーブルコーディネートもばっちりで、あとは柾樹の帰りを待つのみ。

 ところが、約束の時間を一時間過ぎても彼は帰ってこない。医師が定刻どおりにあがれる仕事でないことは理解していても、連絡もないので少し心配になる。

(患者さんの急変とかあったのかな?)

 それからさらに一時間後、柾樹から短いメッセージが入った。

【すまない。仕事で、今夜は帰れないかもしれない】

「そっかぁ。残念だな」

 和葉の口から思わず本音がこぼれる。けれど、人命を預かる仕事なのだから仕方のないことだ。気持ちを切り替えて、彼に激励のメッセージを送る。
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