S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
和葉の母、和香子はシングルマザーで経済的には苦労していたらしい。円城寺家とかかわりがあるとはとても思えない。
「ねぇ、おじいちゃん」
「なんだ?」
すっかり顔色もよくなった育郎が和葉を見返す。
「お母さんのこと、聞いてもいい? おじいちゃんと絶縁状態だったとき、私とお母さんがふたりきりで暮らしていたときのこと……おじいちゃんは本当になにも聞いていないの?」
育郎は少し申し訳なさそうな表情で、首を横に振る。
「あぁ。東京にいたことは間違いないと思うがな……」
「そっかぁ」
和香子が亡くなる以前の話は、やはり育郎も詳しく知らないようだ。
「急にどうした? 昔のこと、無理に思い出そうとする必要はないんだぞ」
『記憶障害は必死に取り戻そうとすると本人がつらくなる』
たくさんの医師にそんなふうに言われたこともあって、育郎はあまり和葉の失われた過去に触れない。和葉自身も、思い出そうとするとひどい頭痛が出るので、もう考えないことに決めていた。
「うん、わかってる。ちょっと気になっただけ」
「それならいいが……」
育郎はそれでも心配そうにしている。
(もうおじいちゃんに聞くのはよそう。余計な心労をかけたくないし)
「ねぇ、おじいちゃん」
「なんだ?」
すっかり顔色もよくなった育郎が和葉を見返す。
「お母さんのこと、聞いてもいい? おじいちゃんと絶縁状態だったとき、私とお母さんがふたりきりで暮らしていたときのこと……おじいちゃんは本当になにも聞いていないの?」
育郎は少し申し訳なさそうな表情で、首を横に振る。
「あぁ。東京にいたことは間違いないと思うがな……」
「そっかぁ」
和香子が亡くなる以前の話は、やはり育郎も詳しく知らないようだ。
「急にどうした? 昔のこと、無理に思い出そうとする必要はないんだぞ」
『記憶障害は必死に取り戻そうとすると本人がつらくなる』
たくさんの医師にそんなふうに言われたこともあって、育郎はあまり和葉の失われた過去に触れない。和葉自身も、思い出そうとするとひどい頭痛が出るので、もう考えないことに決めていた。
「うん、わかってる。ちょっと気になっただけ」
「それならいいが……」
育郎はそれでも心配そうにしている。
(もうおじいちゃんに聞くのはよそう。余計な心労をかけたくないし)