S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
もう頼ることもなくなっていた和葉のおまじないを、久しぶりに口にする。
勇気をもらうためだ、最後のチャンスに挑むための――。
芙蓉を出て、柾樹は寧々と一緒に彼女の車に乗り込む。柾樹の車は自分で運転するが、寧々はいつも運転手に任せている。だから、ふたり並んで後部座席だ。
寧々は背もたれに身体を預けると、表情をほころばせた。
「和葉ちゃん、苺を頬張ってた頃とちっとも変わってなかったわね~。元気そうで本当によかった」
それから、少しだけ寂しそうに視線を下へと落とす。
「やっぱり、私たちのことは覚えていなかったみたいだけれど」
白状すれば、柾樹も心のどこかでわずかな期待はしていた。会えば思い出してくれるんじゃないかと……。だけど、思っていたほどのショックは受けなかった。
(過去は過去。また一から積みあげていけばいい)
素直にそう思えた。
「ところで、あの下手な芝居はなんだったのかしら?」
横目でちらりと柾樹を見て、寧々は肩をすくめる。
「見合いの場所が芙蓉と聞いた時点で、この縁談はうまくいかないと薄々気がついていたけど……それならそれで、沙月さんには正直に謝るべきだったんじゃないの」
「あぁ、ちょっとね。彼女は多分……怒っていないと思うよ」
勇気をもらうためだ、最後のチャンスに挑むための――。
芙蓉を出て、柾樹は寧々と一緒に彼女の車に乗り込む。柾樹の車は自分で運転するが、寧々はいつも運転手に任せている。だから、ふたり並んで後部座席だ。
寧々は背もたれに身体を預けると、表情をほころばせた。
「和葉ちゃん、苺を頬張ってた頃とちっとも変わってなかったわね~。元気そうで本当によかった」
それから、少しだけ寂しそうに視線を下へと落とす。
「やっぱり、私たちのことは覚えていなかったみたいだけれど」
白状すれば、柾樹も心のどこかでわずかな期待はしていた。会えば思い出してくれるんじゃないかと……。だけど、思っていたほどのショックは受けなかった。
(過去は過去。また一から積みあげていけばいい)
素直にそう思えた。
「ところで、あの下手な芝居はなんだったのかしら?」
横目でちらりと柾樹を見て、寧々は肩をすくめる。
「見合いの場所が芙蓉と聞いた時点で、この縁談はうまくいかないと薄々気がついていたけど……それならそれで、沙月さんには正直に謝るべきだったんじゃないの」
「あぁ、ちょっとね。彼女は多分……怒っていないと思うよ」