S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 沙月のプライベートな話だ。勝手にしゃべるわけにはいかない。柾樹は言葉をにごしたが、勘のいい寧々はなにか察するものがあったのだろう。それ以上の説教はしてこなかった。

「機会があれば、一族のみんなに話しておいてもいいだろうか?」
「なにを?」

 こちらに顔を向けた寧々に柾樹は力強く宣言した。

「俺は、心から愛おしいと思える女性と結婚する。誰にも口出しさせない。その代わりに円城寺家は必ず守る。いや、今よりもっと発展させると誓うよ」

 寧々は円城寺家当主としての顔になって、ゆっくりとうなずいた。

「――いいわ。その条件なら、一族の人間は私が説得してあげる」

 それから、母親の顔に戻って苦笑した。

「けどねぇ、和葉ちゃんはどうかしら? かわいいから、素敵な恋人ができているかもしれないじゃない」

 母親のくせに息子に厳しい。今日の和葉の様子からしてその心配はないと思うが……確証は持てないのがつらいところなのに。
 柾樹はムスッとして言い返す。

「絶対に振り向かせるから問題ない。だって俺は――」

『まーくんは誰よりもかっこよくて、誰よりもすごい。だから絶対に大丈夫』

 ふいに幼い日の和葉の声が耳に蘇る。彼女が励ましてくれているような気がした。

(和葉を誰よりも幸せにできるのは俺だ。そうだろう、和葉)
 
< 143 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop