S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
「か、和葉ちゃん。泣かないで……大丈夫だから。柾樹のやつ、昔から腹立つくらいに強運だったしさ」

 ふわりと優しく唄菜に抱き締められ、和葉はハッと我に返った。頬を温かなものが伝っている。

「あっ、違うんです。ごめんなさい」

 和葉は慌てて涙を拭う。

「柾樹は心配ないわ。あの子が和葉ちゃんを置いていくはずないもの」

 励ましてくれる寧々の言葉に、和葉もしっかりとうなずいた。

「――はい」

 心のなかで柾樹に向けて話しかける。

(約束、守ってくれたんですね。本当に誰よりもかっこよくて、誰よりもすごい男の人になって……柾樹さんは、私を世界一幸せな花嫁にしてくれた)

「意識混濁じゃなくて……眠っているだけ?」

 唄菜の大声が静かな病院の廊下に響き渡る。

 膝から力が抜けて、和葉はへなへなと床に座り込んでしまった。立ちあがるのに寧々が手を貸してくれたが、さすがの彼女も瞳に涙を浮かべている。気丈にしていても、やはり心配だったのだろう。

「もうっ、なんなのよ~。その人騒がせな間違いは!」

 プリプリしている唄菜に弁解するのは、身体の大きな男性医師だ。身体つきはいかついのに、雰囲気はおっとりと優しそうで大きなテディベアを思わせる。

(あ、もしかして!)

 和葉の想像したとおり、彼は「研修医の三浦です」と名乗った。元患者とのトラブルに悩む研修医だ。
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