S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 柾樹ならほかにいくらでも素敵な女性との縁があったはずで、彼がはるか昔の自分との約束を果たしてくれたことは、あらためて考えるとすごいことだと思う。

「俺から見た和葉はどこも平凡じゃない。俺を明るく照らしてくれる太陽だよ」

 彼は優しく目を細め、温かな手で和葉の頬をくすぐる。

「和葉は世界にひとりで、ほかの誰も代わりにはならない。俺が欲しかったのは……昔も今もお前だけだ」

 彼の唇が和葉の瞼に落ちる。そのまま、今度は赤く色づいた唇に――。

「んっ」

 キスはどんどん深くなっていき、柾樹はまた悩ましげなため息をこぼした。

「和葉を前にしてキスだけでストップ、はなかなか拷問に近いな」

 数日後。和葉は芙蓉の昼と夜の営業の合間に、育郎たちにも妊娠を報告した。

「きゃ~、おめでとう! これは育郎さんも絶対に元気で長生きしないとですね」

 登美子が育郎を肘でつつくと、育郎もうれしそうに頬を緩ませる。

「そうだなぁ、かわいいひ孫に俺の料理を食べてもらうまでは死ねん」
「おめでとうございます、和葉お嬢さん。さっそく、離乳食レシピを研究しておきますね」

 安吾も笑って、そんなふうに言ってくれた。

「おじいちゃんは……どこまで知っていたの? その、私と円城寺家のつながりのこと」
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