S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
そういえば、初めて柾樹が芙蓉を訪れた日の夜、育郎から彼のことを聞かれたのだ。あれは、柾樹が和葉の昔なじみだと知っていたからなのだろうか。
「和香子が亡くなって、和葉がうちで暮らしはじめて数か月が経った頃だったかな? 円城寺の奥さまから電話をもらったんだよ。『息子を連れて、和葉に会いに行ってもいいか?』とな」
「お義母さんが?」
「あぁ」
けれど、和葉の記憶の混乱を恐れて育郎はそれを断ったそうだ。
「円城寺家とはそれきりだ。だから、久野さんから見合いの相手を聞いたときは驚いたよ」
だが、円城寺は大きな一族だし、育郎は沙月の見合い相手が、かつて電話をくれた寧々の息子とまでは想像していなかったらしい。
「円城寺は珍しい姓だから、親戚だろうとは思ったが……でも、柾樹くんの和葉を見る目で気づいた。おそらく、柾樹くんは和葉を知っているんだろうなと」
なるほど、それで育郎は『なにか話したか?』と和葉に聞いたのか。
「二度目に店に来てくれたときは少し彼と話をした。俺は今ならもう、和葉に過去のことを打ち明けても構わないと言ったんだが……柾樹くんは必要ないと言ったよ」
「そんなことがあったの?」
「あぁ、だから俺は和葉にちょっと嘘をついちまったな。少し前に、生前の和香子がどんな暮らしをしてたか教えてほしいと頼まれただろ」
「うん」
「和香子が亡くなって、和葉がうちで暮らしはじめて数か月が経った頃だったかな? 円城寺の奥さまから電話をもらったんだよ。『息子を連れて、和葉に会いに行ってもいいか?』とな」
「お義母さんが?」
「あぁ」
けれど、和葉の記憶の混乱を恐れて育郎はそれを断ったそうだ。
「円城寺家とはそれきりだ。だから、久野さんから見合いの相手を聞いたときは驚いたよ」
だが、円城寺は大きな一族だし、育郎は沙月の見合い相手が、かつて電話をくれた寧々の息子とまでは想像していなかったらしい。
「円城寺は珍しい姓だから、親戚だろうとは思ったが……でも、柾樹くんの和葉を見る目で気づいた。おそらく、柾樹くんは和葉を知っているんだろうなと」
なるほど、それで育郎は『なにか話したか?』と和葉に聞いたのか。
「二度目に店に来てくれたときは少し彼と話をした。俺は今ならもう、和葉に過去のことを打ち明けても構わないと言ったんだが……柾樹くんは必要ないと言ったよ」
「そんなことがあったの?」
「あぁ、だから俺は和葉にちょっと嘘をついちまったな。少し前に、生前の和香子がどんな暮らしをしてたか教えてほしいと頼まれただろ」
「うん」