二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「ねえ、先生!」

 香澄は溢れ出る涙も鼻水も拭わないまま涼に近寄り、涼のシャツを掴んだ。

「どうしてなんですか!?私今日をすっごく楽しみにしてたんです!」

 涼がその言葉に傷ついたことに気づかないまま、香澄はさらに続ける。

「確かに、体調が悪くなってしまったのは私が悪いです」
「そんなことな」
「私が悪いんですけど!でも勇気さんと話せば絶対に元気になれると思ったんです!!」

 香澄はどんどん、涼の弱点部分をクリティカルヒットしていくかのように、言葉をぶん投げてくる。

「どれだけ私が今日を楽しみにしてたか……今日があるから頑張ってきたのに……」

 そう言うと香澄は、今度はボロボロになったグッズをかき集めた。

「勇気さんがせっかく私のために集めてくれたグッズ……どうしてボロボロになんかできたんですか?一体何したんですか?」

 もし目の前にいるのが拓人やこれまで涼に絡んできた女たちだったならば、スラスラと嘘の1つでも涼は間違いなく言えただろう。
 だが、自分が今最も嫌われるのを恐れている香澄なのだ。涼の目の前にいるのは。
 小手先の言葉はもう、言えなかった。

「彼から預かった後、外に置きっぱなしにしてしまって」

 その言葉から、香澄はすぐにグッズがどんな状態にあったのかを察した。

「涼先生には、確かに子供のおもちゃのように見えるかもしれませんが」
「か、香澄?」
「でも、私と勇気さんにとっては家宝みたいなものなんです!!先生はどうせ、こんなガラクタと思ってたんですよね」
「それは違う」
「違ってたら、外に置きっぱなしで雨に濡れさせるなんて、できるはずない!だって可哀想だもん!!!」

 そう言いながら、香澄は急いでグッズを香澄はかき集めたかと思うと

「涼先生なんか、大っ嫌い!!!!!!」

 と叫んでからリビングを飛び出してしまった。
< 107 / 167 >

この作品をシェア

pagetop