二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「で、ここに来たと」

 1時間後、涼は本日2回目の拓人の部屋でウジウジといじけていた。

「…………たっくん…………」
「やめて!大の男が床に転がってスマホ抱えて泣かないで!」
「……でも……」
「あんた今の精神年齢何歳!?3歳!?3歳のお子ちゃま!?」
「……わからない…………」
「分からないのはこっちよ!!とにかく、座りなさいよ!」
「…………むり…………」
「こっちの方が、そんな状態のあんたをどう扱っていいか分からないわよ!ゲシュタルト崩壊よ!!あんたの国宝級の脳みそで想像しなさい!今のあんたはどこぞの一般家庭に突如空から降ってきた『ロダンの考える人』状態よ!!想像しなさい!そんなものが床にデーンと転がってる様子」
「そんなこと起こるはずない」
「そこだけ頭はっきりさせんじゃないわよ!例えよ例え!それくらいうざいってこと!」
「うざい……」

 そう呟いた涼は、高田馬場駅前に転がってそうな酔い潰れ学生もびっくりな泣き方をした。

「香澄が……僕を大嫌いって……」
「あーもう!!わかった!話聞いてあげるから!!これでも飲んで落ち着きなさい!」

 そう言って差し出したのは、マグカップに入れて電子レンジでチンした水道水。

「そのキャラは……」

 涼は、マグカップに描かれているキャラを見て、またもや国宝級の顔を床にくっつけたままメソメソ泣き出した。

 ちなみに、香澄からの大嫌い攻撃を受けて、簡単には立ち直れない程の心の大怪我をした涼は、浮遊霊のような状態で拓人の家まで歩いてきたのだった。
 そしてまだこの時拓人は知らない。
 マグカップに描かれているキャラこそ、今回涼が大怪我を負った原因になった地雷だと言うことに。
< 108 / 167 >

この作品をシェア

pagetop