二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「つまり?このマグカップに描かれてる黒猫ニャン太シリーズの、くじの景品をボロボロにして、泣かれて、大嫌いって言われたから、尻尾巻いて逃げてきたってわけ」

 涼が、裁判所で語る最終弁論のような長い長い説明を拓人にぶつけたところ、さすがはシナリオライターの神と呼ばれる男……サクッとまとめてしまった。

「まあ、簡単に言えば……そう言うことに、なるかも……」

 逃げてきたという言葉を認めたくない涼は、ギリギリ回避できる言葉を選んだつもりだったが

「なるかもじゃなくて、そうでしょうが」

 あっさり拓人の鋭い言葉のナイフで突かれた。
 香澄からの「大嫌い!」とは別の意味で、涼に効いてしまった。

「そもそも、勇気と香澄を引き離そうなんて考えたから、バチが当たったのよ」
「引き離すとかそういうつもりは……」
「ほらまた、あんたのその言い方!あんたほんとに芹沢涼なの!?百戦錬磨の弁護士なの!?」
「…………わからない」
「だから!こっちの方がわからないわよ!なんなのあんた!さっきからメソメソウジウジ!あー……芹沢涼のファンの女の子たちがそんなあんたの姿見たら、なんて言うかしら……」
「他の女はどうでもいいんだ」
「あ、ちょっと芹沢涼戻ってきた?」
「でも……香澄が……香澄が……」
「我が弟子ながら、ここまでこの歩く公害を潰せるあの子を、私は心の底から尊敬するわ」

 拓人ははあっと、嫌味ったらしいため息をつくと、スマホを操作し始めた。

「ったく……勇気も香澄も、あんたが考えてるような、やましいドロドロした要素なんて少しもないのに、どうしてあんたは毎度毎度……」
「香澄には僕以外の生物を近づかせたくなくて、何が悪いんだ」
「生物!?もはや猫も犬もだめ!?」

 少し前は「人類」だったのだが、より悪化していたようだった。
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