二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「僕は、香澄だけのことしか考えてないんだ」
「………………そうね」

(それでよく、人の人生に深く関わる弁護士なんてできるわね……)

 拓人は、香澄と出会った後の涼に弁護された、不幸のどん底にいる人々に心から同情した。

「だから、香澄にも僕のことだけを考えてほしい」
「……十分、考えてると思うけど」

 少なくとも、拓人は涼が香澄を知る前の香澄を知っている。
 あの、三次元の人間お断りです!な空気が完全に消え去っただけでも、縄文時代から平安時代にスキップした程の大進化なのだ。
 それを知ろうともしない涼に、拓人はいつも以上にイライラし始めていた。

「でも、今日の香澄は……」

 下唇を噛んで、言葉を放つのを躊躇っている涼を見てすぐ、何を言いたくないかも察した。

(ほんと、大人になって小学生みたいな初恋してんじゃないわよ。身体はヤルことやりまくってるのに)

「勇気の名前ばっか言ったのが悔しかったとか……そんなくだらないことじゃないでしょうね」
「くだらなくない」
「図星か!!」

 拓人は、どうにか目的の相手にちょっと長文を送り終わってすぐ、座り込んでいる涼に近づいた。
 見下ろしてる感じの立ち位置になったのが、ほんの少し「ザマアミロ」と思った拓人ではあった。

「まあいいわ」

ニヤリと涼をさらに見下ろしながら、拓人はこう言葉を続けた。

「この私が、お子ちゃまなあんたのために一肌脱いであげるから、跪きなさい」
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