二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 より落ち込む涼を見て、拓人は非常に心地が良い想いもしたものの……ほんの
少し罪悪感があったりはする。ただしそれは、もちろん、目の前に転がっている歩く公害に対してでは、ない。

(あの子がペラペラ話せるっていうのは、あの子に恋愛感情がないからなんだけどね)

 今でこそ、周りがウザいと考えるくらい香澄に愛情を与えまくっている涼のおかげで、香澄の自己肯定感は少しずつ蘇り始めている。
 それは、いいのだそれは。
 ただ、香澄の恋愛偏差値は体の経験はあれど、近所に住む早熟幼稚園児よりも下。
 元々の恥ずかしがり屋さん、からの好き避けレベルが桁違いなのだ。
 そんな人間が、自分語りなど何故できるのか。初恋の相手に。
 でも、そんなことをこの暑苦しい恋ボケ魔に言ったら最後。
 調子に乗りまくった涼が拓人の脳内にしっかりとイメージできてしまった。
 それを三次元の世界で見るのは、死んでも嫌だと思った拓人だった。

(まだ二次元だったら、稼げるキャラクターとして私の役に立つのに……)

 だから、香澄のことを考えるならば、香澄の本当の気持ち……つまり、好きすぎるから、嫌われたくないからヲタク話なんかできるわけはないし、何を話していいかわからないから黙っちゃう……という気持ちを代弁してあげる方が、スムーズにことが進むだろうにも関わらず、拓人はそれをしれっと隠しているのだった。

(だって、絶対ウザさ1000%増しになるもの)
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