二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 拓人はつい、「うーん……」と、普段は出さないよう心がけているザ雄声を自然と出してしまっていた。

(あらやだ!汚い声!)

 そんな風に我に返った拓人は、香澄のその時の混乱っぷりを想像して心から、香澄には、同情した。

「それから」
「まだあるの!?」
「あの…………」

 何かを必死に言おうとする、香澄の丸っこいお目目から、ポロポロと涙がまた流れ出した。

(ほんと一体何してくれてるのよ!? 生きてるだけで公害野郎は!)

 拓人はさらに尻に体重をかけながら、香澄へ次に投げかける言葉を探した。
 ちなみに、拓人は一見とても細身ではあるが、それは日々の筋トレの成せる技なので、それなりの重量が公害にのしかかったのはまたべつの話。

「どうしてって、言うんです……」
「え?どうして?」

 小声だが、はっきりと聞こえた香澄が発したSOSの文章を拓人はしっかり受け止めた。

「涼先生、私が何か答えても、どうして?どうしてってどんどん聞いてくるんです。それで、私どんどんパニックになってしま」

 ったんですと香澄が続けようとしたところで、必死に押さえていた拓人の、公害もとい涼への怒りが頂点に達した。

「なにやってんのよクソ弁護士がああああああ!!!!」
< 122 / 167 >

この作品をシェア

pagetop