二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「あいつはね……苦労という苦労を一切したことがない……ゲームで例えるとスター状態で生まれてきた、むかつくやつなのよ。ただ走るだけで敵もそうじゃないものを薙ぎ倒すスター。イメージわかるでしょう?」
「はい……」

 世界的に有名な、赤い配管工のゲームで例えてくれていることは、香澄にもすぐ気づいた。
 だからこそ、涼が色んな人をすぱすぱっと薙ぎ倒していくイメージもすぐに出てきてしまった。

「私たちのような普通の人間が努力をすることを見下してきた。そんなことをするなんて、可哀想だねと言い放った男なのよ」

 香澄は、涼がそう言ったという事実は信じられなかった。
 自分にはそんな姿を一切見せたことはないから。

「そんな奴がよ、あいつが見下してきたであろう勇気のような人間にビシバシ扱かれて、ハイハイと言いながら必死で食いつこうとしてる。……無様だと思わない?」
「そんな……ことは……」
「無様なのよ。今のあいつは。好きで仕方がない女の子を泣かせて落ち込んで、這いあがろうともがいてる」

 そこまで言うと、拓人は香澄の肩を叩いた。
< 137 / 167 >

この作品をシェア

pagetop