二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「あの、バカ……」

 拓人は、歩く公害が走る公害になったのを呆然と眺めながら再びため息をついた。

「拓人さん……りょ、涼さんは何故あんなに早く」

 何が何だか分からない、と言いたげな顔で勇気は拓人に恐る恐る尋ねた。 

「プロポーズしに帰ったのよ」
「え!?ぷ、ぷぷぷぷろ……!?え!?」
「そ。まあ正確にいうと、プロポーズ自体はだいぶ前に済んでたんだけど。ほら、奴の事務所で私たちが初めて会った日覚えてる?」
「も、ももももちろんです!忘れられるはずないです!」
「違いない。で、その日よ。奴がプロポーズしたの」
「えっ!?で、でもそれって、けけけけ結構前……」
「ていうか、あの流れで即結婚しようって言うなんて……性欲丸出しの猿よりも気が早いというかなんというか」
「で、でででもまだ結婚は」
「してないわよ。香澄が拒否ってたから」
「どどどどどうして」
「さっきの話に繋がるのよ。二次元と結婚最高か発言」
「あ、あー……」

 勇気には、色々と心当たりがあるようだった。

「それが、今日風向きが変わったみたいで」
「どどどどういう……」

 そんなこんなで、拓人が勇気にかくかくしかじか説明している時だった。
 いきなりインターフォンが鳴り出した。

「んもう……誰よ、こんな時に」

 拓人がインターフォンのモニターを確認すると、無意識に「げっ」と言ってしまった。

「たっくん!相談があるんだけど」
「冗談はその花束のデカさだけにして!!!」

 もはや花が何本あるのか数え切れないほどの大きな花束を持った涼が、モニターに映っていたのだった。

「もう、勘弁して!!」

 拓人はしぶしぶ開錠ボタンを押してから、頭を抱えた。
< 148 / 167 >

この作品をシェア

pagetop