二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 拓人は、勇気を連れて急いでエントランスに降りた。
 花は好きだが、自宅廊下の幅よりもでかい花束を連れ込まれるのは、遠慮して欲しかったから。

「あんた!浮かれるのもいい加減にしなさい!」
「別に浮かれてなんか」
「どこぞの花屋の花買い占めて、ニヤニヤ気持ち悪い顔してる人間のどこが浮かれてないのよ。他の感情があるならむしろ教えて欲しいわ!ね、勇気」
「えっ!?」

 絶世の美人二人に「どっち?」と迫られることは、コミュ障引きこもり歴が長い勇気にはなかなかハードルが高すぎたので、曖昧に微笑むことにとどめた。
 ちなみにこれは、香澄から学んだ方法。香澄もよく、二人がバトってる時にそんな微笑みを浮かべるので勇気は真似し始めたのだった。

「そんなことよりたっくん」
「そんなことなのか?その花束は」
「僕は他に何を用意すればいい?」
「…………へ?」

 拓人が間抜けな声を発すると同時に、涼はポケットから某ブランドの……下手したら数百万はするであろう指輪をさらりと出してきやがった。
 もちろんサイズはしっかり香澄にジャストフィットするように調整済み。

「あんた!!そんなもの軽々と外で出すな!!」
「でもまだ足りない気がするんだ」
「重いっ!重すぎるっ!!」

 もはや通りがかる人がぎょっと目を見開くような花束と、値段を調べられでもしたら香澄なら気絶するであろう指輪だけでも、香澄のキャパオーバー、からのパニックが手に取るようにわかる。
 そう言うシチュエーションを夢見ていた女性であれば、きっと夢のようだと喜ぶだろう。
 だが、相手は違う。
 モグラに太陽光ばちばちに浴びせたらどんなことになるか……。
 拓人はため息をつきながら「とりあえず花束はなしね」と言おうとした時だった。

「だったらアレがいいかもしれない」

 勇気が、とんでもないアイディアを言い出した。
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