二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
「な、ななな何を……」

 香澄は、咄嗟に胸を隠した。
 暗い中で見られたことは、何回かはあった。
 その時も、それはそれで恥ずかしいのだが、お風呂の電気はとにかく明るい。
 自分の胸の先は、綺麗な色をしていないのは自覚があるので、まじまじと涼に見られることは嫌だった。
 ちなみに涼の胸の先は、エッチな特集の時によく見る、イケメン俳優の上半身よりずっと綺麗な色をしていた。
 もし許されるなら、観察した上で、リュウの設定に加えたいものだが、そんなことをして涼から

「香澄って、変態だよね」

 と言われるのは耐えられそうになかった。
 最初のセックスのきっかけがきっかけなので、今更と思われるかもしれないが、これ以上自分が涼に悪く見られるのは嫌だった。
 それ程、香澄は今、涼に恋をしているのだ。

 一方で。
 そんな香澄の、胸を隠す仕草1つが可愛くて仕方がない涼は、しばらくは香澄の、もじもじと胸を気にする仕草を観察してもいいかなと思ったが、そろそろ自分のことを気にして欲しくなってきた。
 なので、ほんっとうは不本意ではあるものの、拓人のアドバイスに従って買ってきた、1つ目の秘密道具を出すことに決めた。

「ねえ、香澄」

 わざと、耳に息がかかるように問いかける。

「ななななん……でしょう……?」
「柚子と桃なら、どっちが好き?」
「ゆ、ゆずと……もも……?」
「そう。君は、どっちが好きなの?」

 どうしてここで、好きな果物を聞かれるんだろう、と香澄は疑問に思った。
 でも、涼の甘い眼差しには逆らえない。

「も、桃……?」
「そっか、桃ね」

 そう言うと、涼は香澄を軽く自分の方に振り向かせ、唇をはむようにキスした。

「君の唇も、桃の味がするね。本当に、美味しい」
「!?」

 そう言いながら、涼はすでに浴槽の近くに置いてあった秘密兵器その1を手に取った。
< 28 / 167 >

この作品をシェア

pagetop