二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 ピンポーン。

 最初は香澄と涼も、チャイムの音が鳴ったのは気のせいかと思った。
 こんな時間にくる来客など考えられなかったし、何より2人は普段だったら確実に聞こえた音すらほとんど聞こえなくなるくらい、お互いの唇に夢中になっていた。

「んっ……涼…………」
「なに……?」
「今、音聞こえた……?」
「…………気のせいだよ、ほら、もっと集中して」
「んんっ……」

 そんな風に、涼が香澄を他のものに意識を向けさせなかった、というのもあるが。
 でも、少し経ってからまたチャイムの音が響く。
 さすがに、香澄の方は「やっぱりお客様?」と気づき、涼から離れようとするが

「僕から離れるなんて、許さないから」

 と、香澄の腰をしっかり抱きしめて、香澄が動けないようにした。

「きっと、隣の家の人がいたずらをしてるんだよ」

 香澄が知る限り、隣の家の人は穏やかな老夫婦。ピンポンダッシュをするようには到底見えない。

「それは違うと思うんですけど」

 と、香澄が言った時。今度はドアが激しく叩かれる音と一緒に、2人にとって聞き慣れた肉声がしっかりリビングに届いた。

「こら!!!歩く公害!!香澄といるんでしょう!!居留守なんか使っても無駄なんだから、とっとと開けなさい!!!」
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