二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
　香澄の旦那さんの涼と話すときも、勇気はドキドキして仕方がない。
　アニメの主人公よりも美しい涼は、勇気にとって同じ空気を吸っているだけで申し訳ない気持ちになってしまう。

「僕の、香澄に何か用？」

　涼は、勇気と話すときは、いつも香澄の名前の前に必ず「僕の」というワードを入れている。
　勇気はそれを聞くたびに、涼がどれだけ香澄を好きかが伝わってくるので、自分も一緒に愛されている気がしてほっこりした。

「ああああああの……ここここれ、香澄ちゃんに頼まれて……」

　勇気が涼に紙袋を差し出すと、涼はまじまじと中身を見た。

「これ……は……？」
「香澄ちゃんの推しキャラグッズです。頼まれていたので……」
「へえ、そう……」

　涼はそう言うと「それ、僕にくれる？」と勇気が持つ紙袋を掴んだ。

「僕が、渡しておくから」
「あ、そ、そうですか」
「うん、だからもう今日は、帰っていいから」
「え、でも……」

　勇気は、香澄とグッズについて語り合おうと約束をしていたので、ここで帰るのを躊躇った。
　涼がイライラ、イライライライラしている事には、まだ気づいていない勇気だった。
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