二次元に妻を奪われたくないスパダリ夫は、壮大すぎる溺愛計画を実行する
 香澄を抱きしめている涼も、ものすごい不安に駆られていた。
 香澄が、自分が声をかけた後に「ちょっと待ってください!」と言った後、なかなか部屋に入れてくれないところまでは、はっきり言って想定内。
 だが、今日の理由が涼にとっては想定外。

(一体、何を隠してるんだ……!?)

 香澄の可愛らしいラッコの絵が描かれた毛布が、不自然にテーブルの上にかかっていることが、涼にとって違和感しかなかった。
 その毛布は、いつも香澄がお昼寝の時に使っているものなのは、涼も知っている。
 いつも香澄に会いたくてドアをノックした時、30秒程反応がない時は「倒れてるかもしれないから、生存確認」と言い訳をしてからこっそり入ると、大抵この毛布に包まって香澄は眠っている。
 あまりにもラッコに包まれている時の香澄が幸せそうなので

(このラッコになりたい)

 とまで考えたことも一度や二度ではない。
 だからこそ、そこまで香澄が大事にしていると知っているラッコ毛布を、無造作にテーブルの上に置き、明らかに何か隠してますとわかるこの状況が、涼にとっては不可解だったのだ。

(何かある。あの毛布の下に)

 涼のご自慢の頭脳が警告を鳴らし続けていたのだった。
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