ゴミと宝物
 確かに今朝、エナジードリンクのプルタブをいくつか捨てた。

 確か10個以上はあったと思う。

 空き缶のプルタブがなぜか分解されていて、いくつかシンクの上に置いてあったのを思い出した。

 私はそれを迷わずゴミと判断した。

 それを見た時、彼がバカだと思ったぐらいだ。

 ペットボトルなら蓋と別々にして分別するが、アルミ缶の蓋のプルタブなんて、同じアルミで出来ているのになぜ分別してるのか。

 彼は相当なアホなんだと思いながら、私は迷わずに空き缶の回収に出したのだ。

「ああ、あのゴミなら今朝捨てたわよ。どう見てもゴミにしか見えなかったから。だからいくらゴミ漁ったって無いわよ。汚いから止めて!」

「ゴミとはなんだ!俺にとっては宝物だったんだよ!大体君はいつもそうだ。そうやって俺をゴミ扱いして、今まで君から謝罪の言葉をひとつも聞いたことがない!!」
 
 その時、私ははじめて彼の大声を聞いた。

 初めて怒鳴られたことに内心驚いた。
 それと同時に怒りの感情が溢れた。

 もうすぐ30歳になろうとする男が、エナジードリンクのプルタブを捨てられただけで目くじらたてて、本当に小さい男。そんなくだらないことで怒鳴る彼を目の当たりにすると、私の彼への気持ちは氷のように冷めていった。
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