キミはひみつの王子様。─ようこそ、オオカミだらけの男子校へ─




1Kで良かったかなあ…と、遅すぎる後悔をした一室は。

今日からわたしが一人暮らしをするマンションである。



「ご飯もひとりで作らなくちゃなのよ?お風呂も洗って、洗い物もして、お洗濯もして」


「もちろん!」


「できる?想像してるよりずっとずっと大変なのよ?」


「これも経験!学校から徒歩5分だなんて夢みたいっ」



お母さんとお父さんは未だに顔を渋らせていた。


そりゃあ今まで甘えて育ってきた一人娘が急に一人暮らしだなんて、不安でしかないだろうけれど。

でも、だからこそだ。



「わたしは男の子になるんだよ?やっぱり覚悟から作っていかなきゃかなって!」


「…カンナ」


「ねっ!ってことでっ、わたし忙しいから荷ほどきの手伝いしないなら帰った帰った!」



もちろん両親は手伝ってくれた。

いつでも電話すること、帰ってこれるときはできるかぎり帰ってくること、それを約束に。



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